Blog / 絵本について

『おひさまでるよ』について

自粛期間中ということもあって、なかなか本屋さんで探していただきにくかった新刊について、あらためてどのように出来上がったかについて書いてみたいと思います。

この絵本は2019年の春、たいようの光がどんどん強くなる中、ちいさな植物が芽吹く力を感じ、「おひさまの絵本をつくろう!」と思い立ちました。最初は、絵本のメモ帳に小さな花々がおひさまを引っ張り上げているような絵をメモしていました。おひさまが植物たちを引っ張り上げているような、植物がおひさまを上に上に担いでいるような、どちらともいえない力強いエネルギーを絵本にしたかったのです。ほるぷ出版の三浦さんとお話をするなかで、最小限の要素を残したラフ絵本(絵本の下書きのようなもの)が完成しました。まっすぐなおひさまの光のような絵本にすることができたかなと思います。打ち合わせは、春の光を浴びながら、公園のベンチでお茶をのみながら行いました。打ち合わせも含め、この絵本はぽかぽかと楽しい思い出が詰まっています。

 

 

夏には、旅先のホテルのベランダで、水平線からおひさまが出てくる様子を見ることができました。そのパワフルなこと。私たちの暮らしの中で、こんなすばらしいことが毎日毎日繰り返されていることに、あらためて拝みたくなるような気持ちになりました。その景色とその時感じたことをしっかり思い出しながら原画を描こうと心に刻みました。

原画を描いたのは2019年の年末。シンプルな絵柄のなか一番力を入れたのが、おひさまの目です。どのように描くか、なんども試作を重ねました。いちど目が合ったら離せないような、キラキラした宝物がたくさんつまった宝石箱のような目をイメージしました。絵を描いている時間の中で、目の面積はほんのいさなものですが、この目に原画制作の半分以上の時間をかけていたように思います。

試作の絵の一枚です。

文字はステンシルでつくりました。紙を切り抜いて型をつくり、その型を紙の上に載せて、ブラシで一文字ずつプリントしていきました。そしてその文字をデザイナーのガラパゴの伊藤さんに素敵にカラーリングしていただき、完成にこぎつけました。表紙の絵柄もとっても気に入っています。

 

この絵の原画は、吉祥寺のモノギャラリーで12月にお披露目できる予定です。

たくさんの方に届くといいなあと思います。

 

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m.lotus8@gmail.com
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